研究紹介

合成・生物化学専攻は、1つの専任講座(有機設計学)と2つの基幹講座(合成化学と生物化学)から構成されており、基幹講座はともに4つの分野から成りたっています。

個々の具体的な研究テーマはそれぞれの研究室(分野)の項目を参照願いますが、合成化学講座において、物理有機化学分野では機能分子における構造と物性の相関や新しい量子化学理論・化学概念の展開に取り組んでいます。

有機合成化学分野では、電子移動や反応助剤を巧みに利用した有機反応の高度制御とプロセス工学的な視点から、連続反応をシステムとして捉えた自動合成システムの開発をおこなっています。

有機金属化学分野においては、有機化学の特徴である結合の多様性と無機化学の特技である元素の多様性を掛け合わせた有機金属化学を多彩な物質創製に展開しています。

また、機能化学分野では、無機・有機複合分子集合体の動的構造と複合電子が絡む新しい物質系の設計やナノ空孔、非線形現象、量子効果を利用した材料創成を推進しています。

ゲノム解析が進み、遺伝子(ゲノム)やタンパク質(プロテオーム)の網羅的な解析から生命秩序の本質に迫り、また、これを診断や治療に応用しようとする気運が急速に高まっています。合成化学的な手法が威力を発揮する領域です。

生物化学講座において、生物有機化学分野では有機化学の視点から生体分子の集合体である細胞を見据えた研究を展開し、特定タンパク質を標的とするセン サー、イメージングプローブ、ラベル化材の開発、タンパク質有機化学による人為的機能改変、革新的技術によるセミウェット環境下での生体分子の機能制御を 目指しています。

生体認識化学分野では、化学生物学の視点から、化学システムとしての生命現象を解析・制御・修復・改変する革新的なバイオテクノロジーの開発と人工生命システムの構築を目標としています。

分子生物化学分野では、脳神経系等の様々な生体組織における正常状態での細胞応答機構のみならず、病気の原因の化学的根幹を探ることを目的に、分子生物学・細胞工学的手法により生体シグナル分子動態の解明を行っている。

生物化学工学分野では、微生物を中心としたあらゆる生命現象を化学的な立場から解析し、さらに環境改善や工業への利用を目指した広範囲の研究を展開しています。

このように生物化学講座では、化学生物学(Chemical Biology)の観点から化学システムとしての生物の機能解明や利用、改変に向けた種々の取り組みをおこなっています。

専任講座(有機設計学分野)では、21世紀の社会にとって有用な物質創製や効率的な物質変換法の開発における、基本となり、指針となるような新反応・新物質を設計・デザインし、それらを現実のものとすることに取り組んでいます。