専攻の概要
合成化学と生物化学は独自の発展を遂げてきましたが、近年、両者のバリアは急速に狭まる情況にあります。合成化学においては、目指すべき究極の 手本が生物の合目的性にあるとの認識が、生物化学においては、合成化学産物や分子設計の手法が生命現象の解析に大きな威力を発揮してきた事実が、その背景 にあります。歴史的には、生物の研究は全体から部分へ、すなわち解析的・トップダウン型の道を、合成化学の手法は簡単な分子から複雑な系を組み立てる集積 的・ボトムアップ型の道を辿り、そして両者が交わるナノ領域の制御に革新の要があると考えられています。
合成・生物化学専攻では、合成化学 と生物化学を機軸にした学際領域の開拓を目指しています。専攻全体として、電子レベル/分子レベル/ナノレ ベル/マイクロレベル/バイオレベルでの電子状態/分子構造/反応/物性/機能/システムの発現・制御を、それぞれのレベルにおける最先端の方法論と理論 を駆使した創造性豊かな総合精密化学として推進しています。そして、このような研究と教育を通じ、時代を担う人材の育成ならびに健全な自然観・生命観の醸 成と持続可能な社会の発展のための新産業基盤技術の創出に努めています。
現在(2023年12月)の研究室の教授陣と研究内容(キーワード)は以下のとおりです。
- 有機設計学研究室(杉野目道紀教授)
「次世代の新反応系・物質系を具現する」
- 有機合成化学研究室
- 機能化学研究室(生越友樹教授)
「分子を設計し集合させ次世代の機能材料を創成する」
- 物理有機化学研究室(松田建児教授)
「新規機能を持った有機化合物をデザインし、合成し、測定する」
- 有機金属化学研究室(石田直樹教授)
「有機金属化学の立場から新現象を掘り起こす」
- 生物有機化学研究室(浜地格教授)
「細胞内有機化学を創成する」
- 分子生物化学研究室(森泰生教授)
「物質のつくる”生物らしさ”を探る」
- 生物化学工学研究室(跡見晴幸教授)
「極限環境から生命現象を視る」 - 分子集合体化学研究室(古川修平教授)
「分子と金属を集合させ、様々な形を作り、新材料をつくる」